江田 小鷹  公益財団法人 出雲市芸術文化振興財団 理事長

江田 小鷹 出雲芸術アカデミーは、「21世紀出雲芸術文化のまちづくり条例」、「出雲市芸術文化振興指針」において、「音楽のまち出雲」の推進役として位置づけられ、芸術文化活動を担う人材育成に大きな期待が寄せられています。この使命を受け、財団としても幼少期から芸術文化に触れる機会の充実を図り、創造性と感性を高め、豊かな心を培うことによって健全な青少年の育成に寄与するよう鋭意取り組んでおります。

出雲芸術アカデミーは、平成17年に出雲市が設立し、平成22年度から当財団が移管を受けて今日に至っています。この間、アカデミーを巣立った子どもたちは140名近くになり、その中には音楽関係の大学を卒業し、プロのプレーヤーとして活動している人、県内の小・中・高校で教職についた人、出雲芸術アカデミー講師等に就任した人など、各方面で卒業生の活躍の声が聞かれます。また、出雲フィルの演奏会には修了生が多数出演しており、このように、着実に成果が表れてきているものと考えています。

しかし、芸術文化によるまちづくりは、一朝一夕ではならず、じっくり育くむようたゆまぬ積み重ねが必要です。アカデミーは、設立当初から中井章徳芸術監督、米山道雄学長をはじめ、指導の先生方、関係者の皆様方の一心一意のご尽力により今日を迎えることができました。改めて深く感謝申しあげますとともに、引き続き一層のご指導を願うものであります。

 

米山 道雄  出雲芸術アカデミー 学長

米山 道雄 ひたすら学ぼう いつまでも
2005年に出雲芸術アカデミー音楽院が誕生しました。あれから14年が過ぎ、次々と修了生が巣立っていきました。修了式、入学式、開講式が毎年出来るのはうれしいことです。継続は凄いことです。
振り返ると、数々の苦労は懐かしい思い出になりました。でも、「学ぶこと」は厳しく、「教えること」はもっと難しいことを痛感しました。

「それ以上のことをしなければ成長はできない」(オズボーン)

「変わっていくこと、それが学ぶこと」(養老孟司)

「才能はないけれど非常に強い好奇心が私にはある」(アインシュタイン)

こんな名言に魅かれました。学んだみんなが社会に役立ち、また次の子どもたちへ伝わっていくことを願っています。

「今が大切、明日をめざして」

開校当時の初心にかえって、令和元年のスタートにしましょう。

中井 章徳  出雲芸術アカデミー 芸術監督

中井 章徳『メロスは激怒(げきど)した。必(かなら)ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王(おう)を除(のぞ)かねばならぬと決意(けつい)した。メロスには政治(せいじ)がわからぬ。メロスは、村(むら)の牧人(まきびと)である。笛(ふえ)を吹(ふ)き、羊(ひつじ)と遊(あそ)んで暮(く)らしてきた。けれども邪悪(じゃあく)に対(たい)しては、人一倍(ひといちばい)に敏感(びんかん)であった。』

 これは、太宰治の小説『走れメロス』の有名な冒頭部分です。主人公のメロスの名は「旋律」という意味をもつギリシア語[Melos]に由来しています。高さの異なる2つ以上の音が組み合わさって出来た、横に流れる一つのまとまりを「旋律=メロディー」と言います。汚れは、周りが汚れている時には目立ちませんが、真っ白な状態の中ではとても目立ちます。「邪悪に対しては、人一倍に敏感であった」のは、メロスの心が美しかったからに他なりません。次々と襲いかかる苦難にも負けず、信じるもののために走り続けたメロスの生き方は、一つの旋律を奏でたと言えます。

 「人が生きる上で大切なものは何か」「本当の幸福とは何か」そのことについて考えるために、今から2400年も昔の古代ギリシア時代、アカデメイア(現在のアカデミー)と呼ばれる学校が誕生しました。知識を得るのではなく、知性を働かせて、この世界や、宇宙の真理を探求し、清く、正しく、美しい心、人や社会をみなで育み合う。古代ローマ時代の哲学者セネカは次のような言葉を残しています。

 『我々が求めるべきものは、外見の良いものではなく、中身の詰まった良いもの、内面の方が美しいものである。我々はこうしたものを探求すべきだ。それは遠いところではなく、いつかは見つけることが出来るので、君はどこへ手を伸ばしたら良いかを知るだけでよい。しかし我々は今、暗闇の中で目ざすものにぶつかりながら、それに気づかず通り過ぎてしまっているのだ』

 出雲芸術アカデミーは、音楽や芸術を愛し、美しさを大切にする人々が集う心のオアシスです。これを「フィルハーモニー」と言います。「合奏」や「合唱」を通じて深まる仲間との絆や、素晴らしい音楽との出会いは生涯の宝になるに違いありません。古今東西の芸術作品に触れながら、自分のメロディを探求し続け、仲間とともにハーモニーを奏で、豊かで美しい人生の音楽を創り上げていきましょう。走れ、令和のメロス!!!

指揮者:中井章徳オフィシャルサイト

Message from 
大植 英次  出雲芸術アカデミー 名誉顧問 

大植 英次 何度か音楽会で訪れた出雲市で「出雲芸術アカデミー」の存在をお聞きした時には、大変感激致しました。  

 「出雲芸術アカデミー」の存在は、昨今の殺伐とした情勢の中、将来を担う子供たちに芸術・文化を通し、夢や希望を与え、豊かな心を持った大人への成長に導く大きな役割を持ち、大変重要な教育の一環であると考えます。また、子供達の教育ばかりではなく、芸術文化活動を支える指導者の育成は、今後、創造性豊かな人材育成に重要不可欠なテーマだと思います。

 それ故、この度、「出雲芸術アカデミー」の名誉顧問に就任致しましたことは、非常に栄誉なことであり、アカデミーの活動に非常に大きな期待をしつつ、応援しております。  

 「出雲芸術アカデミー」で学ぶ皆さんへ、この与えられた素晴しい環境の中で、夢を持ち、その夢を実現するよう頑張って下さい。そして、あなた方ひとりひとりの夢が実現した時、その喜びを、仲間たちと皆で分かち合ってほしいと思います。出雲から世界に羽ばたく音楽家、芸術家が生まれることを楽しみにしています。(2007年)