江田 小鷹  公益財団法人 出雲市芸術文化振興財団 理事長

江田 小鷹 このたびの新型コロナウイルスの拡大は、社会に大きな影響を与え、私たちは、先行きが見えない非常事態に直面しています。
 出雲芸術アカデミーでも、4月のファミリーコンサートや7月の出雲フィルハーモニー交響楽団定期演奏会の中止をはじめ、音楽院講座の開講を延期するなど苦渋の選択をしてきました。
 5月14日、島根県にも出されていた新型コロナウイルスにおける緊急事態宣言が解除されたことから、アカデミーとしても第二波への警戒をしつつ、現在可能な活動を模索しながら、この困難を乗り越えていきたいと考えています。
 このアカデミーは、平成17年に出雲市が設立し、平成22年度から当財団が移管を受けて今日に至っており、「21世紀出雲芸術文化のまちづくり条例」、「出雲市芸術文化振興指針」において「音楽のまち出雲」の推進役として位置づけられ、芸術文化活動を担う人材育成に大きな期待が寄せられています。
 財団としても、幼少期から芸術文化に触れる機会の充実を図り、創造性と感性を高め、豊かな心を培うことによって健全な青少年の育成に寄与するよう鋭意取り組んでいます。昨年は、世界的なバイオリニストである五嶋みどりさんとの交流も実現し、アカデミーに学ぶ子供たちにとって貴重な経験になったものと考えています。
 これまでにアカデミーを巣立った子どもたちは140名を超え、音楽関係の大学を卒業し、プロのプレーヤーとして活動している人、県内の小・中・高校で教職についた人、アカデミーの講師等に就任した人など、各方面で卒業生の活躍の声が聞かれます。昨年には、本科のOB・OG会も発足し、アカデミーの益々の発展に寄与してくれるものと期待しています。
 アカデミーは、設立当初から中井章徳芸術監督、米山道雄学長をはじめ、指導の先生方、関係者の皆様方の一心一意のご尽力により今日を迎えることができました。改めて深く感謝申しあげますとともに、引き続き一層のご指導を願うものであります。

米山 道雄  出雲芸術アカデミー 学長

米山 道雄ひたすら学(まな)ぼう いつまでも

 2005年(ねん)に出雲(いずも)芸術(げいじゅつ)アカデミー音楽院(おんがくいん)が誕(たん)生(じょう)し、今年(ことし)の10月(がつ)で15年(ねん)が過(す)ぎます。これまでにたくさんの修了生(しゅうりょうせい)が巣立(すだ)っていきました。継続(けいぞく)は凄(すご)いことです。

 振(ふ)り返(かえ)ると、数々(かずかず)の苦労(くろう)も懐(なつ)かしい思(おも)い出(で)になりました。でも「学(まな)ぶこと」は厳(きび)しく、「教(おし)えること」はもっと難(むずか)しいことを痛感(つうかん)しました。

 

「それ以上(いじょう)のことをしなければ成長(せいちょう)はできない」(オズボーン)

「変(か)わっていくこと、それが学(まな)ぶこと」(養老孟司)

「才能(さいのう)はないけれど非常(ひじょう)に強(つよ)い好奇心(こうきしん)が私(わたし)にはある」(アインシュタイン)

 こんな名言(めいげん)に魅(ひ)かれました。学んだみんなが社会(しゃかい)に役立(やくだ)ち、また次の子(こ)どもたちに繋(つな)がっていくことを願(ねが)っています。

「今(いま)が大切(たいせつ) 明日(あす)をめざして」

 開校(かいこう)当時(とうじ)の初心(しょしん)にかえって、新年度(しんねんど)のスタートにしましょう。

中井 章徳  出雲芸術アカデミー 芸術監督

中井 章徳

みなさんは、どのような人(ひと)になりたいですか?

 人間(にんげん)は、夢(ゆめ)や目標(もくひょう)を持(も)って、自分(じぶん)が「なりたい」理想(りそう)の姿(すがた)を思(おも)い描(えが)くことができます。そして、「どんな人になりたいか」ということを自分で選(えら)んで決(き)めることができる「自由(じゆう)意志(いし)」を持っています。「心(こころ)が美(うつく)しい人」と「心が醜(みにく)い人」と、どちらになりたいですか?と聞(き)かれたら、きっと「心が美しい人」になりたいと思うことでしょう。では、どうしたらなれるのでしょうか。

 夢や目標、理想は、生(い)きる上(うえ)でとても大(おお)きな力(ちから)を持っていますが、何(なに)もしないで放(ほう)っておくと、時間(じかん)がたつにつれてだんだん曖昧(あいまい)になり、弱(よわ)まっていきます。『毎日(まいにち)歯(は)を磨(みが)くように、心構(こころがま)えも日々(ひび)磨き直(なお)さなくてはならないんだよ』と教(おし)えてもらった時(とき)、「なるほど!」と思いました。では、どうしたら目(め)に見(み)えない心を磨くことが出来(でき)るのでしょうか。

 「美しさ」というのは「感(かん)じる」ものなので、教(おし)えること・教(おそ)わることができません。しかし、素晴(すば)らしい物(もの)にたくさん触(ふ)れ続(つづ)けることで、感性(かんせい)が磨かれ、美しいものと醜いものを見分(みわ)ける「審美(しんび)眼(がん)」を養(やしな)うことができます。何が本当(ほんとう)に大切(たいせつ)な物で、何がそうでないかを見極(みきわ)める力!

 学問(がくもん)・道徳(どうとく)・芸術(げいじゅつ)の追求(ついきゅう)目標(もくひょう)である「真(しん)・善(ぜん)・美(び)」は、いつの時代(じだい)も変(か)わらない価値(かち)をもった人間の理想であり、アカデミーの理念(りねん)です。素晴らしい芸術や音楽(おんがく)は、心を磨いてくれるのです。

 合唱(がっしょう)や合奏(がっそう)、音楽を通(つう)じて「素晴らしい!」と思える感動(かんどう)の瞬間(しゅんかん)をたくさん体験(たいけん)していってください。

どんな時も前向(まえむ)きに。レッツ・アンサンブル! 合掌(がっしょう)。

指揮者:中井章徳オフィシャルサイト

Message from 
大植 英次  出雲芸術アカデミー 名誉顧問 

大植 英次 何度か音楽会で訪れた出雲市で「出雲芸術アカデミー」の存在をお聞きした時には、大変感激致しました。  

 「出雲芸術アカデミー」の存在は、昨今の殺伐とした情勢の中、将来を担う子供たちに芸術・文化を通し、夢や希望を与え、豊かな心を持った大人への成長に導く大きな役割を持ち、大変重要な教育の一環であると考えます。また、子供達の教育ばかりではなく、芸術文化活動を支える指導者の育成は、今後、創造性豊かな人材育成に重要不可欠なテーマだと思います。

 それ故、この度、「出雲芸術アカデミー」の名誉顧問に就任致しましたことは、非常に栄誉なことであり、アカデミーの活動に非常に大きな期待をしつつ、応援しております。  

 「出雲芸術アカデミー」で学ぶ皆さんへ、この与えられた素晴しい環境の中で、夢を持ち、その夢を実現するよう頑張って下さい。そして、あなた方ひとりひとりの夢が実現した時、その喜びを、仲間たちと皆で分かち合ってほしいと思います。出雲から世界に羽ばたく音楽家、芸術家が生まれることを楽しみにしています。(2007年)