未来の伝統芸術を創る交響神樂プロジェクト
いよいよ最終章!
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2020年2月7日 出雲芸術アカデミーにて
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2019年12月6日 出雲芸術アカデミーにて
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出雲の春音楽祭・連作交響神樂
2017年から出雲の春音楽祭で展開しているシリーズ「連作交響神樂」は、
現代において若手作曲家の中でも第一人者的存在である“平野一郎”氏(出雲芸術アカデミー コンポーザー・イン・レジデンス)による作品です。
2017年から始動したこのプロジェクトのこれまでの流れをご紹介します。
出雲の春音楽祭2017
新作《交響神樂》を初披露!日本の源として存在し続けてきた広い意味での「出雲」に立ち、出雲のヴェリズモ「Ver’izumo」を音楽芸術で追求する新たなプロジェクト。この分野では比肩する者のない気鋭の作曲家・平野一郎氏による渾身の作品を、総勢200名を超えるオーケストラと合唱、さらにソリストには日本を代表するバリトン歌手・福島明也氏を迎えた燦めきの布陣で世界初演を行った。
交響神樂 第一番 〈國引(クニビキ)〉
バリトン独唱+混声合唱+児童合唱とオーケストラ
出雲の春音楽祭2018
交響神樂第一番の初演から一年。プロジェクトの第二弾として、「第二番〈遠呂智(オロチ)〉」「第三番<羅摩船(カガミノフネ)〉」の二作を同時初演。
交響神樂 第二番〈遠呂智(ヲロチ)〉
管弦楽の編成。
誰もが知るヤマタノヲロチの物語。英雄スサノヲが里人悩ます八頭一体の巨龍を退治。その尾に隠れた宝剣【天叢雲剣】を奪って天に献上。助けた姫を娶(めと)って目出度し。スサノヲ様の大手柄…絵に画いたような勧善懲悪の筋書の隙間(すきま)にギラリと光る十六個の赤い眼と、逐(お)われた神の視た真実とは?“正しい神話”の後ろに隠れた、言葉に尽くせぬもうひとつのほんとう。壮大な神話をオーケストラにて披露した。
交響神樂 第三番〈羅摩船(カガミノフネ)〉
児童合唱と管弦楽の編成。
天の神様の指の間からこぼれ落ち、蛾の羽まとい蘿藦芋(ががいも)の皮の小船【天羅摩船(アメノカガミノフネ)】を漕ぎ、海を渡って本邦に到着、オホナムヂの神と一緒に国作りの大事を成した後、粟穂(あわほ)に弾かれ呆気なく常世(とこよ)の国へ飛び去ったという、虫子の如く小さな神=スクナヒコナ【少名毘古那/少彦名】の物語。一見可愛らしいけれど、よく見れば謎と不思議に満ちた神の姿と足跡を、児童合唱とオーケストラが奏でた。
出雲の春音楽祭2019
プロジェクト第三弾の主人公はだいこくさま(オオクニヌシ・第四番)とゑびすさま(コトシロヌシ・第五番)。なじみ深い物語の奥に広がる、心わきたつ音霊の海。
第四番〈大穴牟遅(オホナムチ)〉、第五番〈鳥遊(トリノアソビ)〉の二作同日初演
交響神樂 第四番〈大穴牟遅(オホナムチ)〉
管弦楽の編成。
第四番の主人公はだいこくさま=オオクニヌシ。宍(猪)追って野山かけまわり、兄弟たちの嫉妬などお構いなし、恋を重ねる我らが若き日の英雄の、いわば音による遍歴譚=ビルドゥングスロマン。神話や神楽で描かれたお馴染みのエピソードの裏の裏まで潜り込み、オーケストラで奏でた。
交響神樂 第五番〈鳥遊(トリノアソビ)〉
児童合唱と管弦楽の編成。
第五番の主人公はゑびすさま=コトシロヌシ。今の出雲のコドモ達の奇妙なわらべうたに呼び起こされるこの曲は、國譲り神話のハイライト、三穂乃埼にて心おきなくトリノアソビ(鳥狩り)&スナドリ(魚釣り)していたコトシロヌシが「今すぐ来よ!」と天鳥船に呼び出され、父オオクニヌシに國譲りを進言するや、謎めいた所作・天逆手(アメノサカテ)を打ちつつ青柴垣(アオフシガキ)にて水中にお隠れ遊ばした、〈鳥遊〉。児童合唱とオーケストラが奏でた。
出雲の春音楽祭2020 ※開催中止
2022年の音楽祭に〈湖〉初演を延期
出雲の春音楽祭2022
交響神樂 間奏曲〈湖(ミズウミ)〉
管弦楽とソプラノ独唱の編成。
國引から國譲へ・・・壮大なる神話群(全構想九部作)の真ん中にぽっかりと現れた摩訶不思議な間奏曲〈湖〉。出雲世界の中央に横たわる宍道湖・中海・神西湖、タケミナカタゆかりの遥かな州羽海=諏訪湖、そして出雲平野の底に眠る幻の湖が重なり湧いた、いわば響きの水鏡=真澄鏡。湖面には四季・二十四節氣・七十二候に千変万化する出雲の風景が、祭礼や神話の中の神神の面影をそっと纏いつつ、しずかにしずかに映り移ろいます。睦月・如月・弥生・卯月・皐月・水無月・文月・葉月・長月・神在月・霜月・師走…揺るぎなき天体の運行に区切られた一年十二月。鳥・虫・花・波・風・雪・光・・・万象が明滅するひと巡りを、巫めいたソプラノ独唱とオーケストラに託し、一月一分ぴったり十二分間に封印。
※初演を予定していた出雲の春音楽祭2020が中止となったため、2年後の2022年に世界初演。